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荘則棟(元卓球世界チャンピオン)
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 スポーツが政争の場となるのは、今に始まったわけではないが、この人くらい、短期間に天国と地獄を味わった人も、そうざらにはいない。
 かつて、卓球は、日本の御家芸だった。その卓球王国を打ち破ったのが荘別棟氏、この人だ。
 世界チャンピオンを連続3度、文革で中国が不参加にならなければ、一本差しの長谷川信彦氏も、豪打の伊藤繁雄氏も世界一になれただろうか? その質問にはただ微笑むだけ。
 毛沢東夫人である江青に認められ、スポーツ大臣に就任するも、四人組とともに失脚、公園の清掃など強制・労働という辛酸をなめた。
 かつて、強い日本を追い越すために、日本選手のフイルムを、何度もくり返し見て研究。その恩返しの意味もこめての来日。中国語で『還種子於大地』と書くらしい。
「斧で薪を割るように思い切りラケットをボールにぶつけて」と、具体的でわかりやすい指導法は、子供たちにも好評だ。
 大きくて、丸い背中は激動の半生を経た。
写真・文 高橋和幸

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