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平山郁夫(画家)
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 悠久の時代を描く碩儒だからこそ、言葉に一層の重みを増幅させるのかもしれない。
「今、日本は世界の文化財の保護、修復をやらなければ……。そのほうが、日本が国家として海外に兵隊を出すよりも、ずっと貢献できますよ」
 先程まで無心に絵筆を動かしていた人とは思えないような饒舌に圧倒させられる。
 かつて故・井上靖氏が氏をパリで見かけた時、この人の後ろ姿は古代遺跡の前にあってこそよく似合うと評した。
 20数年に及ぶシルクロードの旅の集約が、薬師寺金堂の壁画『仏教東漸』として、後世に残ることになる。
「はあ、その時代の描き手として画家冥利につきるというものですね。その善し悪しの判断は歴史にまかせます」 
 古都・鎌倉のアトリエに静謐な光がさす。
写真・文 高橋和幸

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