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亀倉雄策(グラフィックデザイナー)
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 東京オリンピックから30年−−。
 臨場感溢れるポスターと、大胆なまでに簡素化されたTOKYO1964のロゴタイプは、今も鮮明に蘇るほど、インパクトがあった。そのことを告げると、「もういいかげんにして欲しいね。他にも作品はたくさんあるんだから。反核キャンペーンとか万博のポスターとか」
 グラフィックデザイナーが図案家と呼ばれていたころからスタートした氏は常に第一線を歩いている。その自信からか、クライアントの社長とでも自分の意思を通すためにはケンカまでする、気骨の人。が、一方では、受けねらいの色が濃い若手アートディレクターに対しても、「レぺルが高ければそれでいいし、ハートがあって社会が求めているものを作っているのであれば、それでいいんじゃないかなあ」と、デザイン界の重鎮らしく寛容さを示す。
 広島アピール(反核キャンペーン)のポスターを見ながら、「蝶を焼く。これほど残酷なことはないでしょ」と、さらっと言ってのける。戦争の悲惨さをなんと美しく表現していることか。さすがに凡人とは発想がひと味違う。
写真・文 高橋和幸

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