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西田修平(棒高跳び、オリンピック・メダリスト)
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   この人に会ったら是非聞きたいと思っていた。1936年ベルリンオリンピックでの、例の友情のメダルについてである。
「あれは世間が騒いだだけ。オレは何とも思っちゃいないんだ。朝から始めて夜までかかって、オレと大江(季雄)が二位決定戦に残った。暗いし寒いし、もう止めようやって、二人で相談したんだよ」
 同記録なのに翌日の表彰式では西田さんが銀になっていた。
 西田さんは「オレはいいよ」と後輩に銀を渡した。しばらくして大江氏のお兄さんが銀・鋼のメダルを半分ずつつないで持参した。
 戦後、戦死した大江氏の遺品から出てきて、初めて世に知られる。
 自己ベストを15センチも更新してのロス大会での銀についても、「あれはフロックだよ。自分より強い相手なんだから、勝てば大儲け……なんていう気楽さがよかったのかもしれない」
 滔々上語る傍らにいて、「本当に、この人は大空を楽しむ鳥人だったのだなあ」と思えた。
写真・文 高橋和幸

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