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丹下健三(建築家)
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  世界のTANGE。あらゆる権威ある賞を総なめにし、その上、各国の勲章も手中にしている建築界の大御所。だが目の前に現われた本人は礼儀正しく、いたって謙虚。
 それなのに、例の都庁の評判。
「都庁というのは、日本の顔なんです。誰もが手掛けてみたいと思っているわけなんです。そこに、やっかみとか妬みみたいなものが出るのでしょう。だって21世紀にまで残る仕事なんですから……」
 それにしても、いかにも人々を圧倒するような建物という印象は否めないと思うのですが−−。
「いや、私は風格を重んじているわけです」
と、にべもない。
 鈴木俊一東京都知事のブレーンということで、コンペ決定当時、いろいろな疑惑を受けることになる。それでも、本人は反論することなく、やがて時が過ぎ去った。
 デザインが先行するという批判にも、なんら屈しない。
「機能というのは初めからあるものではないめです。作っていく過程でできるもので、外観と中身というのは同時進行なのです。まあ、ケースバイケースということですかね。ただ、他人と違うとしたら、心構えです」
 年齢のわりにはあまりにも颯爽としていた。それだけは確かな事実だ。
写真・文 高橋和幸

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